2014年10月
拝啓
10月になり秋らしい陽気に変わりゆく頃だとは思いますが、貴社ますますご発展のこととお慶び申し上げます。
法人の代表者又は個人事業の経営者が死亡した場合や高齢になり経営をしていくことが困難になった際にその経営を継続していくためには次の世代への事業承継を考えなければなりません。今回はその事業承継について問題点等を踏まえながら触れていきたいと思います。
法人について
法人において問題となってくるのは代表者からの役員借入金(代表者が会社に貸している金銭)や代表者が保有する自社株式です。役員借入金については代表者からすれば会社に対する貸付金となり相続財産となってしまうので、早めに減らすことが大切です。(債権放棄や資本金に振替える等の方法があります。)株式については中小企業の場合、他に譲渡をすることが難しいこともあり、保有したままだと相続税の課税対象となります。そこで、代表者の相続、遺贈、贈与により、その親族である後継者が取得した自社株式については納税が猶予されるという規定があります。
★具体例(相続の場合)
自社株式7億円 | 後継者A(子)が取得 | |
---|---|---|
その他財産3億円 | 非後継者B(子)が取得 |
後継者Aの納付税額(単純計算)
納税猶予の適用を受けない場合 | 約2億7,000万円 | 納税猶予税額 約2億3,000万円 |
---|---|---|
納税猶予の適用を受ける場合 | 約3,900万円 |
(注)相続、遺贈により取得した場合は自社株式の80%部分
納税猶予の対象となる自社株式は、発行済議決権株式総数の3分の2までの部分
個人について
個人事業者においては株式を気にする必要はありませんが、経営者が変わると所得税の納税義務者もその新たな経営者となるため届出書の提出(個人事業の廃業届出書、開業届出書等)や事業資産の承継が必要になります。
事業用不動産などの時価が高い資産については譲渡所得税、贈与税を気にしなければなりませんが、旧経営者と新経営者間の使用貸借とする方法もあります。親族間の使用貸借(地代家賃のやり取りはしない)ならば事業使用部分に係る減価償却費や修繕費等を必要経費に算入することができます。
なお、納税猶予を受ける際の一定の要件や細かい規定に関しては紙面の都合上簡略しておりますので、ご不明な点等がございましたら当事務所又は担当までお問い合わせください。
敬具
平成26年10月
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大西会計事務所
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作成者 加瀬裕士