2021年5月
新緑の候、いかがお過ごしでしょうか。
今回は新設された相続税に関する制度をご紹介します。
預貯金の仮払い制度
従来は遺産分割協議中であることを理由に凍結されていた被相続人名義の預貯金であっても、手続きすることにより、一定額までならば資金を引き出せる制度です。(金額は預金額や法定相続分で変動し、金融機関ごとに最大150万円)
メリット
・葬儀費用等による金銭的負担を和らげることができる
・戸籍謄本などの書類があれば裁判所を介さなくても利用ができる
デメリット
・実際に引き出すには多少時間がかかる
・制度を利用すると相続の意思があるとみなされて相続放棄できないため、財産より負債が多いような相続となる可能性を考える必要がある
配偶者居住権
配偶者が被相続人死亡時に同居していた場合、その建物を、所有権を放棄する代わりに終身または一定期間使うことができる権利です。
メリット
・従来ならば法定相続分の都合上、住居を選ぶと現預金は受け取れない相続のケースでも、住居を「配偶者居住権」と「配偶者居住権を認めた住居所有権」と分割することにより「住む場所」と「現預金」の両方を受けとることができる
・配偶者死亡もしくは期間満了で「配偶者居住権」が消滅すると、「配偶者居住権を認めた住居所有権」の所有者は住居を税負担なく受け取ることができる
デメリット
・裁判所の審判により権利を取得する必要がある
・取得したら売却や譲渡、相続は不可能なため、老人ホーム入所など生活が変化する可能性を考えて取得する必要がある
・放棄はできるが、その際は居住権の価額分の権利を配偶者が贈与したとみなされ、「配偶者居住権を認めた住居所有権」の所有者に贈与税が生じる
余談ですが、被相続人死亡時に無償で被相続人の住居に住んでいたとき、一定期間無条件で住むことができる「配偶者短期居住権」という制度もございます。
ご不明点等あれば事務所までお気軽にお問い合わせください。
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作成者 篠田 健太