2021年11月
向寒の候、いかがお過ごしでしょうか。今回は、今年10月より登録受付が開始された消費税の仕入税額控除の方式として、「適格請求書等保存方式」いわゆる「インボイス制度」についてご説明いたします。
インボイス制度とは
まずインボイスですが、これは売手が買手に対して正確な適用税率や消費税額等を伝える請求書のことです。現在発行されているような請求書に追加して、インボイス登録番号や対価の税率、税率ごとに区分した消費税額の記載が必要となります。
売買により発生する消費税の二重計上を防ぐ”税額控除”の適用にはインボイスを利用し、求められたら交付できるようにしましょう、というのがインボイス制度となります。
消費税の記録をきちんとしようと施行されるこの制度、実は税理士会では以下の点などから反対されています。
インボイス制度で心配されていること
免税事業者の商売が立ち行かなくなる可能性がある
インボイス登録番号は課税事業者にならないと取ることが出来ません。インボイスを発行出来ない免税事業者は税額控除を受けたい取引先から取引を切られる可能性があります。取引を続けるためには身銭を切って課税事業者になるか、大幅に価格を下げる必要に迫られるかもしれません。
二重に消費税が取られるのはそもそもおかしい
消費税の本質上、二重にかかる税負担をなくすのは当然であるから、インボイス以外で税額控除が認められないというものはいかがなものか、といった意見があります。
事務の煩雑化
現行の請求書でも税率ごとの区分けは必要ですが、同一税額の取引をまとめて表記すれば済みます。しかし、インボイスでは消費税額のみの表示も必要となるので、請求書発行での事務負担が増えることとなります。
終わりに
現時点では 中小企業にはダメージの大きそうなインボイス制度ですが、実際に施行されるのは令和5年10月からです。施行後も当面はインボイスでなくても一部税額控除を認める措置をとったりするようですが、まだ改善の余地はあると思われます。当事務所としましても現時点では経過を見守る状況でございますが、申請期限が令和5年3月末ですので、詳細を考慮して令和4年中をめどに申請する予定でおります。
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作成者 篠田 健太