2023年11月
晩秋の候、時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。さて、厚生労働省が公表していた社会保険に関する「年収の壁・支援強化パッケージ」が令和5年10月20日から施行されました。今回はその内容についてご紹介させていただきます。
年収の壁
通常、社会保険加入者の扶養内であれば健康保険料や年金を被扶養者が納める必要はありません。しかし被扶養者の年収額などが一定以上になると扶養から外れ年金や保険料などの負担が発生し手取り額が減少します。このいわゆる「年収の壁」が被扶養者の労働時間の調整、ひいては社会全体の労働力不足に繋がっていたため厚労省がテコ入れを行った形となります。
106万円の壁
被扶養者が従業員101人以上の企業に週20時間以上勤務しており、かつ月収8.8万円(年収約106万円)に達すると自身で社会保険へ加入しなければなりません。令和5年10月より施行された、「106万円の壁」への対応策は以下の通りです。
新たに社会保険に加入した短時間労働者に保険料負担軽減手当を企業が支給した場合、同手当は社会保険料等を計算する際の算定対象から除外されます。また支給した企業にキャリアアップ助成金が支給されます。
なお、適用するためには事前の申請が必要となりますのでご注意ください。
130万円の壁
従業員100人以下の企業に勤務している場合には、年収が130万円以上になると扶養から外れ国民年金や国民健康保険の保険料を納める必要があります。そのため残業時間を含めた労働時間の調整が必要でした。
令和5年10月からは残業等の一時的な収入変動により「130万円の壁」を超えたとしても、連続2年間まで引き続き被扶養者として認定されるよう改正されました。(勤務先の証明が必要)
以上、年収の壁についてのご紹介となります。今回は社会保険に関するご説明でしたが、所得税や住民税にも「年収の壁」がございます。こちらは今回施行された対応策には組み込まれていないためご注意ください。気になる点、ご不明点等ございましたらお気軽に弊所までお問い合わせください。
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作成者 礒崎 弘之